2024年11月30日に実施された第1回JXIVAにつきまして、82名の皆さまに受験いただき、誠にありがとうございました。順調に実施されましたことをお知らせいたします。
今回は、全25問、解答時間は55分でした。早期退室者も少なく、受験者にとって手ごたえのある問題だったのではないかと考えます。極端に正答率や識別指数の低い問題は確認されておらず、試験としての公平性や信頼性が保たれていたと考えます。これは、問題作成に携わった多くの関係者の努力の賜物であり、この場を借りて深く感謝申し上げます。
本試験は、受験者の静脈麻酔の臨床実践のための知識および技術の習得・確認、およびより専門的な知識を深めることを目的としております。資格試験、認定試験ではなく検定試験であり、達成していただきたい水準がそれぞれの問題および選択肢に明確に反映されています。従って、いわゆる麻酔の臨床マニュアル本や、実地経験のみで得た知識のみでは対応困難な問題構成であったかもしれません。加えて、いわゆる過去問や問題形式の参考資料が存在しないことから、受験者にとっては対策しにくい状況であったと考えます。このような条件にあっても、全体的に想定を上回る好成績であり、多くの受験者が基礎的な内容をしっかりと理解されていることがうかがえました。
中でも、フルマゼニルによる拮抗のリスク、小児患者におけるプロポフォール投与の注意点、TCIポンプ使用上の注意点、人工心肺中の薬物動態・薬力学といった臨床上重要なポイントにおいて、加えて初学者が躓きやすいcontext-sensitive decrement timeやresponse surface modelの解釈についても高い正答率が見られました。受験者の皆さまが、日頃の学習成果を臨床としっかり結び付けている成果だと感じております。また、計算問題も出題され、思わず身構えた受験者もおられたのではないかと思いますが、比較的多くの受験者が正解しておりました。
一方で、正答率が低かった問題や選択肢として、薬物動態・薬力学モデルパラメータの解釈、ケタミンやデクスメデトミジンの特徴、プロポフォール投与時のライン構成や器具の素材について、術中覚醒記憶の疫学に関する問題等が挙げられます。これらは実臨床のみならず、静脈麻酔に関する症例報告や臨床研究を行う際にも重要なポイントでので、今後JSIVAとして、様々な機会において情報発信に努めてまいります。
今回、一定以上得点された受験生が、そのなかでどの位置づけにあるかを、ステータス(ダイアモンド、プラチナ、ゴールド、シルバー、ブロンズ)という形で示させていただきました。上位5名につきましては、優秀合格者としております。また、今回はブロンズの得点層につきまして、合格とさせていただいております。
本試験を通じて、受験者の皆さまがご自身の強みと弱みを把握し、今後の学習に活かしていただければと考えております。これからも静脈麻酔分野の知識を深め、さらに力をつけていかれることを心より応援しております。
結びに、本試験の実施にご協力いただいたすべての関係者の皆さま、そして受験者の皆さまに改めて感謝申し上げます。今後も、試験内容や運営の改善に努めてまいりますので、引き続きよろしくお願い申し上げます。
JXIVA委員会 委員長 小原伸樹